朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第102回2016/3/1

 坂井は、弟と安井の満洲と蒙古での行動を価値のあるものとはとらえていない。
 宗助も、安井のことを詳しくは聞かないが、満洲へ渡ったというだけで、彼が世間から外れた不安定な生活を送っていると考えている。
 これは、坂井と宗助の偏見などではなくて、当時の実際がそうであったのだろう。
 外国と言っても、欧米とアジアでは全く違うイメージを持たれていたと思われる。満洲へ渡る目的は、金儲けのため、なんらの意味で日本を脱出するためが多かった。それは、日本の満洲に対する国策の反映でもあったことが歴史から分かる。