朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第340回2016/3/15
優れたプレイヤーと、優れたコーチ・トレナーはなかなか一致しない。その両方ができるのは、極めて少数の人だ。
会長だった真田は、プロボクサーの経験はないので、完全にコーチ・トレナー、あるいはボクシングの理論家であった。
広岡は、チャンピオンにこそなれなかったが、優れたプレイヤーだった。そして、広岡は、コーチ・トレナーの経験がない。だからこそ、現会長の令子にトレナー役を依頼された際に断っていた。彼は、優れたボクサーイコール優れたコーチ・トレナーではないことを、よく知っているのだろう。
だが、‥‥
広岡は少し迷ったが、どこかで翔吾の走りを見てみたいという思いもあり、
優れたプレイヤーと、優れたコーチ・トレナーはなかなか一致しない。その両方ができるのは、極めて少数の人だ。
会長だった真田は、プロボクサーの経験はないので、完全にコーチ・トレナー、あるいはボクシングの理論家であった。
広岡は、チャンピオンにこそなれなかったが、優れたプレイヤーだった。そして、広岡は、コーチ・トレナーの経験がない。だからこそ、現会長の令子にトレナー役を依頼された際に断っていた。彼は、優れたボクサーイコール優れたコーチ・トレナーではないことを、よく知っているのだろう。
だが、‥‥
広岡は少し迷ったが、どこかで翔吾の走りを見てみたいという思いもあり、