朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第345回2016/3/20

 翔吾がまた来た。逞しく、素直になっている。チャンプの家の三人は、喜んで迎えている。
 広岡もうれしいだろうが、三人とは少し印象が違う。広岡は、翔吾がはっきりと求めなければ応じることをしない。
 一方、翔吾の方は、特に広岡に、自分の走りを見てもらいたくて来ているように感じる。