朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第349回2016/3/24

広岡には、佐瀬だけでなく、星もまたこの若者にボクシングを教えるということに心を動かしはじめているらしいのが意外だった。

 広岡と藤原は、この時点ではボクシングを教えるという気持ちになっていないことが分かる。さらに、広岡は、星がボクシングを教えるという気持ちにはならないだろうと、予想していたことが読み取れる。

 佐瀬はチャンプの家の庭で、ボクシングを教えたいということを、他の三人の誰にも言っていなかったことも分かった。
 しかし、シャドーを始める時には、藤原も教えることに積極的になった。
 四人が一致して翔吾へのトレーニングを始めるのだろうか。それとも、四人それぞれの思いは違ってくるのだろうか。
 今までの広岡ならば、他の三人の気持ちへは深入りをしないはずだが、この場合はどうなるのか。