朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第354回2016/3/29

 駅のホームで、ボクシングを始める前の広岡をノックアウトしたのは、ボクサーとしてのトレーニングを積んだ男だと思い込んでいたが、こんないきさつがあったのだ。
 星の過去が明らかになってくる。


ストーリーから離れた感想。
 年寄りになってよいこともある。その一つは、過去の経歴が必要なくなることだ。現役の頃は、履歴を更新したり提出しなければならないことがあった。
 今はもう、なんの仕事に就いていたかも、どこの学校を卒業したかも必要事項ではない。
 これは、大変に身軽で気分がよい。たまに、聞かれるのは、最近の病歴くらいのもんだ。