朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第356回2016/3/31

(略)連打のしつこさには、相手をうんざりさせるほどのものがあったのだ。

 佐瀬には「あった」が、それが翔吾に最も欠けているものとは、広岡は思っていない。

あの若者、黒木翔吾にはその勇気が欠けているだろうか‥‥‥。

 藤原の言ったことも、広岡は肯定している。しかし、それが翔吾に欠けているかは、疑問に思っている。
 では、星の言ったことに同意するだろうか。
 広岡は、三人の言ったことはどれも的を射ていると思っている。だが、それ以外の何かを見つけていると、私には思える。