夏目漱石『吾輩は猫である』第15回朝日新聞連載小説2016/4/25

 我が家の一匹は、なっとう、トマト、そばを食う。もう一匹は、ヨーグルトプレーンを食う。両方が喜ぶものはない。
 キャットフードも互いに違うものを好む。しかも、キャットフードは同じものが続くと飽きる。
 「吾輩」の言っていることは、ユーモアだけを狙っているのではない。漱石は、猫の生態を知っている。

 猫を飼い続けていると、フッと気づかされる時がある。私は、人間同士も含めて他の生物の生態を観察しないし、知らない。
 猫がキーボードの前を通ることが厭で、机の上に来ると、叱って追い落としていた。それを、止めてみた。猫は、キーボードと私の前を二回行き来し、スウッと机から降りて行った。