朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第380回2016/4/25

 オヤオヤ、作者は広岡に携帯なぞ持たせない設定か、と思っていたら違った。
 オヤオヤ、翔吾の父、平井ジムの会長は、もの分かりのよい人で、しかも「よろしく頼みたいくらいだと頭を下げる」なんて、思いもしなかった。
 翔吾はスムーズに真拳ジムに移籍し、大塚のスパーリング相手になるのか?
 でもそうなれば、四人の手からは離れることになるのか?
 それとも四人は、真拳ジムで教えるのか?
 そうなれば、四人は真拳ジムのトレナーの立場になるのか?
 それとも‥‥


 父親として、子どもにレベルの高い学校へ入ることや安定した収入の職に就くことを要求するのは、翔吾の父が翔吾に結果だけを求めることと、本質的に同じなんだろうな。