朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第408回2016/5/24

 いよいよ試合開始直前だ。
 佐瀬、藤原、星は、自分が戦う気になっているようだ。藤原が熱くなり過ぎなければよいが。


 令子は、ここでも広岡へ気を配っている。広岡をジムの会長と同格に位置付けている。ボクシング界の位置づけとしてそう遇しているのか、それとも彼女の個人としての想いなのか。