朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第409回2016/5/25

 セコンドへの観客のヤジは、翔吾にとってなによりのリラックス効果を与えたと思う。

 広岡は、チンピラにからまれた時も今回も老人に対する悪口をおもしろがっている。うまいことを言うとおもしろがる広岡がおもしろい。

 老人への悪口は、概ねは当たっているというべきなのだろう。これまでは、老人を理由もなく敬うことや長寿をむやみに祝うことが過剰だった。どの年代にもその年代特有の欠点があると思う方が当たり前なのだ。