朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第414回2016/5/30

 挿絵の広岡の表情がいつになく険しい。
 それはそうだろう。翔吾のノックアウト勝利の記事に、広岡たちのことが興味本位で書かれでもしたら、とんでもないことになりそうだ。
 例え、その記事に好意的な反応が多くとも、広岡はアメリカでの成功や、今の四人の暮らしを必要以上には知られたくないと考えていると思う。


 やっと、勝利を喜ぶ描写が出てきた。
 記者と広岡とのやり取りをまだ知らない佳菜子は、翔吾の勝利を控えめながら心から喜んでいる。