朝日新聞連載小説『吾輩は猫である』夏目漱石第45回2016/6/10

 迷亭の話をはじめてまじめに聞いた。東風のドイツ人にドイツ語で話しかけられたエピソードだ。
 他国語を少しかじったことがあるというのが危ない。例えば、英語に興味があるというだけで、それを使ってみようとするのが危ない。
 できなくても使わなくては他国語をものにすることはできないであろう。(私は、他国語をものにしたことはないので、仮定でしか言えないが)
 自分の語学力はまったくの初歩であると自覚していれば、東風が陥ったようなことにはならないであろうが、少しでも通じると、なんとかなると思ってしまう。

 それにしても、苦紗弥は教師だし、寒月はギリシャ語を読む、東風は例え初歩であろうとドイツ語をしゃべる。この三人の語学力は、相当のものと感じる。迷亭の語学力は分からないが、雑学の知識は豊富だ。