朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第433回2016/6/19

疑問一
 令子は、大塚のことを広岡にだけかそうでなくとも最初に広岡に相談したと思っていた。しかし、他の人に相談して解決ができないので、広岡の所に来たのだった。令子が、広岡を特に信頼していると思っていたが、そうでもないのかと感じた。

疑問二

「よかった。負ける姿なんて、どちらも見たくないものね。」 

 ジムの会長とはいえ、令子の母性的な面と優しさが出ている。
 だが、広岡たち四人はどう考えても負けた男たちだ。
 この小説は、勝敗をきっちりと描く。勝者だけが取り上げられるのではなく、敗者へも、むしろ敗者の方に焦点が当てられると感じる。


 挿絵では、広岡と令子の実際の年齢相応の表情が描かれた。「お嬢さん」と「広岡君」は、もう過去のことなのだ。