朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第439回2016/6/25

 金儲けを唯一の目的にする人を好きにはなれない。でも、仕事をするからには金を稼がなければ話にならない。それにどうせなら時間と手間をかけないで稼げる方がいい。私はそう考えている。


(略)金になればどんな仕事でもやる。(略)しかし、頼まれて面白そうなら金にならなくてもやる。

 宇佐見というのは、なかなかに面白い人物だ。名声や権威には無縁な人だ。
 名声や権威というと古臭いが、リスペクトされたいとか「イイネ」をたくさんもらいたいとかは、横行している。人の実力よりも他からの特別扱いの評価だけを願う姿勢で、現代の名声や権威至上主義だと思う。
 宇佐見は、いわゆる善良な弁護士ではなさそうだが、「ボランティア」をする面もあるようだ。