朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第432回2016/6/28

 失踪者をたちどころに発見したり、ショーのように観客を楽しませたりする能力は、超能力とは思えない。しかし、それほどはっきりとはしていなくて、場面や場合によっては発揮できるような特殊な能力を持つ人がいることは信じられる。

この子には、動物や植物の声が聞こえるのではないか?
しばらくすると、佳菜子は、天気の変化を正確に当てるようになった。

 こういう能力を持つ人は、小説の中だけでなく、現実にもいると思う。


だが、その集落に変化が起こった。

 これは、母が亡くなった佳菜子が医師の女性と暮らすようになったことだけを指すのか?