朝日新聞連載小説『吾輩は猫である』夏目漱石第46回2016/6/14

 苦紗弥のこういう態度は、痛快だ。世間は、金田夫人が感じているような反応をするのが常だが、苦紗弥のような人物もいるのだ。
 ただし、苦紗弥が地位や金の有無で人を見ないかというと、そうではないと描かれている。苦紗弥の生活では実業家に全く縁がないので、金田の名前を聞いてもちっともありがたがらないというだけだとされている。
 その通りだとしても、地位や金にものを言わせて、横柄な態度を通す金田夫人に対する苦紗弥の態度はやはり痛快だ。