朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第468回2016/7/25

 この試合の前に、スパーリング相手の中西に広岡がアドバイスをして、中西がスタイルを変え、それが翔吾に何かヒントを与えると予想した。
 前回では、翔吾のインサイド・アッパーをかわした大塚の体が翔吾に当たり、翔吾が眼をケガすると予想した。
 どちらも外れた。

 スパーリングでは何も変わらず、特に得るものもなかった。
 試合は、佳菜子の心配は当たらずに、大塚有利のままラウンドが進んでいる。

 翔吾が広岡に、求めていることはなんだろう?キッドのキドニーの許可か?それとも広岡のクロス・カウンターの許可か?
 でも、そのどちらもなんとなくピンとこない。

 スパーリングが始まってから、星の登場がない。この試合でも、セコンドは佐瀬と藤原はついているが、星の描写がない。


 翔吾が、絶妙のタイミングで、クロス・カウンターを打ち、大塚に逆転勝利する。
 そういう流れを描いても、なんとなく物足りなさが残る。
 かと言って、このまま敗れるのも‥‥