朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第473回2016/7/30

 他の人には一切干渉しなかった広岡の変化だ。子どもに取り越し苦労をする親のようだ。こういう気持ちは理解はできるが、その変わりぶりには違和感を感じる。


 予知能力や鋭い感覚を持つというのは、羨ましくもあるが、厄介でもある。佳菜子に劣らず、広岡の感覚の鋭さは何度も描かれている。だから、このデートに不安を抱く。