朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第474回2016/7/31

 前髪の件は今まで出てきた記憶がない。
 髪型については、広岡の髪型が若い頃から変わっていないことが書かれていた。令子は、40年ぶりの広岡を昔と変わらぬ髪型で見分けたとあった。
 そうすると、前髪のことで今まで語られていない思い出が出てくるのか。


(略)四人で後片付けを済ますと、(略)

 久しぶりに四人の共同生活の様子が描かれている。翔吾の世界選手権戦を目の前にしても、四人の生活に大きな変化はないようだ。四人で翔吾のトレーニングをして、四人で家事を分担している。
 四人は、佳菜子の生い立ちについてはわかったはずだ。星と佐瀬の会話はどこへ発展するのか?


 ストーリーは新しい方向に向かうが、前の章の内容で知りたいことが残っていてすっきりしない。
 大塚にどうして逆転勝利できたのかがわからないままだ。
 インサイドアッパーは警戒されていたが、ボディフックは無警戒だったからということだけなのか?それとも、ボディフックを打つ機会を我慢して待っていたのか?広岡が感じた翔吾の成長は、何が理由なのか?
 広岡は、大塚と現在の真拳ジムにどういう態度をとっているのか?翔吾は、真拳ジムの所属のままなのに、チャンプの家だけでトレーニングをしているようだ。次の試合に向けてのスパーリングはどうするのか?
 読者のいろいろな問いに答えていては、話は前に進まないであろう。しかし、これらが置き去りにされたままでは、ストーリーが雑になると感じる。