朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第21回2016/9/22

「なんか、前衛的な家庭だね。」

 そう思う。
 日本もどんどん変わっているけれど、家族がバラバラに別々の国で生活している理有の家庭は「前衛的」と呼ぶにふさわしい。

 理有は、呼び出した若者光也への懐疑心を持っていたが、それがどんどん消えていった。フランスでの幼なじみエリアスに、光也の雰囲気が似ていると感じたことは当たっていた。
 理有は、エリアスと光也のように周囲の人間に同調するのが苦手な人の心にスッと入ることができるのだろう。

 光也の引きこもりと、ぬいぐるみでそれを克服できたエピソードは興味深い。
 自分には、他人とは違うところがある。しかも、それは、一般的には変だとか気持ち悪いとか思われるところだ。そういう場合には、それを無理やり直そうとしたり、隠そうとする。でも、そうすべきことなのか。他人との違い、他人にはよく思われないところ、そういうところも含めて自分だし、人だと思うことは大切だ。

「(略)自分は変な人間だって、前面に押し出して外に出ようって決めて。そしたらすっごい周りから変な目で見られて、それが逆に気持ち良かったっていうか。(略)」