朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第25回2016/9/26

 二人の間の問いかけと返事が回をまたがるので、前回を押さえておかなくてはならない。

「こういう人間って、どういう人間?」  (24回)光也
「うーん。面白みのない、真っ当なだけが取り柄の人間」  (24回)理有
「いいと思いますよ」  (25回)光也

 理有が母と自分についての踏み込んだ話をしたあとの光也の返事としては、ずいぶんとおざなりと感じる。でも、それが二人の間ではしっくりとくるのだろう。

 理有は、「合理性重視」「真っ当なだけが取り柄」という普段のペースが、光也といると乱れる。光也は、「いつも誰といてもペースが乱れる」のに、理有といると乱れない。この二人の関係がよく伝わってくる。


 「締め切り」が出てきたから、母は、作家のように締め切りをもつ仕事をしていたのだろう。