朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第27回2016/9/28

 理有は、母親へ反発していたのに、杏を学校へ行かせようとするときに母と同じように装った。
 杏は、学校へ行く準備と晴臣への要求からは、浮ついた女子高生にしか見えないのに、自分の心理を見透かしている。

お前のママの金でな、と頭をよぎったけど、いつの間にか嬉しさがこみ上げていることに私は恐ろしさを感じる。

 「私は」と一語が入ったことで、この文の重みが増している。