ママの自殺に眼を奪われて、その前に書かれていた晴臣の入院のことがどうでもよくなっていた。

 ママが死んで半年経ったころに、祖父母の家を出て、姉妹は姉妹だけでマンションで暮らし始めた。その時は、杏は中学三年生で、晴臣は同じ系列の高校一年生だった。晴臣は、付属中学校へ転校してきた杏を好きになり、晴臣と杏が付き合うようになった。
 晴臣が死に直面したのは、ママの死から一年も経っていなかったとある。母の死から約半年後、転校した杏が晴臣と知り合う。知り合って約半年後、晴臣が死に直面したことになる。

「でもオミが死んだら私も死のうって思ってけど」(32回)

ママの死から一年も経たない内に晴臣が死と直面し、それを見守っていた私は、ママが死んだ時には全く感じなかった感情の砂漠化を感じた。(32回)

 回復した晴臣に病気の兆候は描かれていない。事故だったのか?
 ママの自殺と、晴臣が死の直前までいったこととは関連するのか?死の原因については、関連しなくとも大切な人の死ということではつながらないはずがない。