朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第52回2016/10/24

 ママが理有の考えている通りの人だとしても、それにはっきりと気づくには子どもの内は無理だと思う。
 離婚してからのママと杏の行動を考えると、理有は三人の中で自分だけはしっかりしなければと思ったに違いない。

 パパも理有に対して説明するように、ママのことをとらえたのは結婚後のことであるように思う。

「(略)同じ人間の形をしてても全然違う原理で生きてる。ユリカが何を考えていたのかとか、そういうことを考えるのは不毛だよ。ああいう人に対して共感をもって向き合おうとしても無駄なんだ」

このようにママのことを、はじめから思っていたら、結婚はなかったと思う。

 ママ、中城ユリカのような人がいても、そういう人の本質に気づくのは容易ではないはずだ。