朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第68回2016/11/9

 晴臣についての杏の感情は、いつも行ったり来たりを繰り返す。
 浮気はしないという晴臣の言葉を信じられないのに、信じたい気持ちに負ける。
 杏のことを心から心配する晴臣に愛おしさを感じながら、一方では晴臣と一緒にいることが自分を衰弱させていくと感じている。

晴臣の全てが、強烈に愛おしかった。(67回)

彼にがんじがらめにされたまま、私は少しずつ死んでいくのかもしれない。(68回)