朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第69回2016/11/10

 晴臣は、いつも軽薄な人物として描かれる。髪型、言葉遣い、そして考えていることも。今回の晴臣は、一段と軽薄な感じだ。
 なぜ、こんなに浮ついているのか。

マシンガンのように喋る晴臣は心底嬉しそうで楽しそうで(略)
 

 晴臣は、杏と一緒にいることが何よりも幸福なのだ。その杏の姉と姉の彼氏と、話が通じるということが心底楽しいのだろう。晴臣は、杏を除いては気持ちが通う人と食事と共にしたことがないのかもしれない。
 この後、杏と理有と光也は、晴臣にどう接していくのだろう。このままスムーズに会話が続くとは思えないが、意外に晴臣が場を盛り上げることも考えられる。