『波の音が消えるまで』 沢木耕太郎 新潮社 第一~四章 あらすじと読書感想

 
四章の後半に来て、一気にストーリーが展開した。

《あらすじ》
 主人公伊津航平は、ふっと手を出したバカラ賭博にすっかり魅せられ、数日で日本に帰る予定だったマカオから離れられなくなっている。
 航平は、十代の半ばからサーフィンに夢中になり、アルバイトで貯めた金でハワイに行き、そこでサーフィンづけの生活を送っていた。そんなときに、撮影に来た日本人のカメラマンに気に入られて、助手に雇われた。
 それが、きっかけとなって、航平はカメラマンとして日本で独立するまでになっていた。しかし、ビッグウェーブにもう一度だけ挑戦してみたくなって、バリ島へ渡った。バリ島で一年近くを過ごし、再び東京へ戻る途中にマカオに立ち寄った。
 そこで、バカラ賭博をやり続けている。さらに、バカラを通して、劉と呼ばれる日本人と出会う。航平は、劉にバカラのことを聞き、会話の流れで自分のことも話す。航平の口から生い立ちが次のように語られた。父は、勤め先の信用金庫の金を使い込み、自殺した。母は、父の死後、他の男といなくなり、今でも行方知れずになっている。

《感想》
 主人公の航平の生い立ちは、不幸なものだ。また、温かい家族の中で幼少時代を過ごしたと思えない。その点は『春に散る』の主人公の広岡と共通点をもっている。
 また、少年時代に夢中になっていたことを、あきらめているところも共通だ。
 広岡は、ボクシングに魅せられた。航平は、バカラ賭博に魅せられている。
 『春に散る』とも比較しながら、読み進めたい。
※『波の音が消えるまで』は、2014年書き下ろし