朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第80回2016/11/22

 晴臣の行動は予想できた。
 杏もそれは分かっていたはずだ。予想できなかったのは、理有の変化だった。理有が今まで通りの彼女だったら、杏は、姉のもとへ戻っただろう。
 杏は、「晴臣がいれば、私は理有ちゃんと生きていた時と同等の、いやそれ以上の平穏の中で生きていられる。」(77回)と思っていただけに、前回の浮気の時のように晴臣を許すことも、姉のもとへ戻ることもできない。

 杏がすがることができる人といえば、パパか、祖父母か、あるいは広岡さんか、今までの登場人物の中ではそれしかいないだろう。