朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第81回2016/11/23

 杏の暴力は、晴臣に向かった。怒りの対象は、もっぱら晴臣だった。(1回)

 今は、ベッドにいた女に向かっている。(81回)

人の男を取る女は、何もかも器用にできる。ああいう女に生まれて、世の中ちょろいなって舐(な)めくさって生きていたかった。どうして私は、こんなに弱いんだろう。

 
女が逃げると、怒りの対象は、晴臣になった。
 次に、怒りを部屋中へ向けた。

 浮気をする晴臣へ怒りを爆発させていたのが前回の浮気までだ。今は、浮気相手の女へも、もちろん晴臣本人へも、そして、自分も含めた全てへ怒りを爆発させている。


雲が出てきたのは外ではなく自分の中なのだとわかった。

 この部分からは、杏の美容室でのパニックを思い出す。


 この小説の特徴が見える。
 杏の暴力の場面で、ストーリーが大きく動く。
 杏の回想や思考の場面で、小説のモチーフが表れて来る。
 杏の視点は、作者自身の視点と重なる。