朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第84回2016/11/26

 理有の視点から、母の死とその後の姉妹の生活について語られている。
 表面は冷静に振舞っている祖父が、娘(姉妹の母)と杏の「非常識なところ、空気を読めないところ」を評価していると書かれている。それは、母と杏の共通項であり、一方では理有と杏の違いであるのだろう。 
 祖父母が娘の死を悲しみ、残された孫のことをいかに心配しているかが伝わってくる。
 祖父母が、どれほど心配し、どれほど気遣っても、孫姉妹を守ることも勇気づけることもできない。母の死の真相を、祖父母と姉妹が互いに隠すほかないうちは、そこに断絶が存在し続けると感じる。

 理有は杏のことが心配になってきた。理有と杏は、今は対立しているが、互いを憎んではいない。対立の原因は、杏は光也を、理有は晴臣をそれぞれ気に入らないことにあると思う。