朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第87回2016/11/29

 母であり作家であったユリカは、自己を優先し、独善的に行動する人だったと感じる。夫に対しても、不倫相手に対しても、相手の気持ちを考慮して、自己を抑制することはなかったのだろう。
 高橋の話からそのように思える。
 人間関係で、他の人と協調する気持ちなどユリカにとっては微塵もなかった。自己中心で、独善的で自己の規範だけに従って行動する。それは、自己にあくまでも忠実で、打算や偽善の全くない行動だったという面もあるのではないだろうか。

 高橋の質問に、冷静に対処する理有に驚く。理有にも、自己の意思通りに行動する強さがある。他人の余計な介入を断じて許さない言動は、母ゆずりのものを感じた。