理有と光也と杏と晴臣の四人が顔を合わせた。晴臣と光也は打ち解けた雰囲気になるが、杏と理有は互いに反発し合う。
 四人が一緒に食事をして以来、杏には理有を拒否する気持ちが強まり、ほとんどの時間を晴臣のマンションで過ごすようになった。晴臣は、杏と一緒にいられることを喜び、結婚しようとまで言い出した。
 そんなある日、杏が留守をした間に、晴臣は、浮気相手をマンションのベッドに招き入れていた。その現場を目にした杏は、浮気相手の女を暴力で追い出し、気を鎮めようとする晴臣を相手にせず、部屋中暴れまわった。杏は、その興奮の中、再びパニック発作を起こした。パニック発作が収まった杏は、謝り続ける晴臣に別れると言い残して彼のマンションを出て、行く当てもなく歩き続ける。

 母の三回忌に来ないだけでなくメールの返信もない杏のことを、理有は心配になりだした。
 その三回忌で、理有は、編集者で一時期は母の不倫相手だった高橋と会った。高橋は、母の死は自殺ではなかったのかと理有に問いかけた。理有は、それを強く否定した。
 高橋は、誰にも知られていない母の遺作原稿を持っていることを理有に告げた。