朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第114回2016/12/27

 今日は、まだ読んでいなかった。114回を読む前に、ブログを開いた。アクセス数が跳ね上がっていた。何か、あったか?
 114回を読んだ。驚いた。
 とりあえず、パパについて思い出してみよう。

四年くらい前から、一週間に一度、一時間くらい、私はこうして画面越しにパパと話している。(17回)(理有)

「(略)ママがパパと離婚してからも、一度もパパが必要だったと思ったことがなかった。理有ちゃんとママがいれば、もう私の世界は完璧だったの」(30回)(杏)

その女の子の腰を掴んでいた男はパパだった。(43回)(理有の夢の中のできごと)

どうやって生きていけばいいのだろう。母が父と離婚し、父が出て行った時、漠然とそう思った。(44回)(理有)

怖くなったらいつでもおいで。フランスで二人暮らしをしていた頃、私の寝る間際いつもパパが頭に手を置いてかけてくれた言葉だった。(46回)(理有)

私はスマホからパパにスカイプで電話を掛けた。向こうはまだ昼だし出ないかと思ったけれど、三回もコールが鳴らない内にビデオが繋がった。(51回)(理有)

「(略)同じ人間の形をしてても全然違う原理で生きてる。ユリカが何を考えていたのかとか、そういうことを考えるのは不毛だよ。ああいう人に対して共感をもって向き合おうとしても無駄なんだ」(52回・パパの言葉)(理有)

ママが死んだ後、半年くらいおじいちゃんの家にお世話になって、ここに引っ越してから一年半ほどが経つ。ママと住んでいた前の家は3LDKで、この家は2LDKだ。この家にもう一つ、ママの部屋がある形で、ママの部屋はリビングと直接つながっていた。パパがいなくなり、ママがいなくなり、理有ちゃんがいなくなり、理有ちゃんが戻ってきた。(55回)(杏)

「(略)私はパパがいなくなって、女の城みたいな快感もあったけど、(略)」(58回)(杏)


 私の記憶だけなので、重要な部分を落としているかもしれないが、ざっと今までを振り返ってみた。
 理
有の中では、ママと離婚し出て行ったパパが、今はフランスにいることにゆるぎはない。
 杏は、晴臣にはママとパパが離婚したと言っていた。だが、パパが外国にいるとは言っていない。「パパがいなくなり、」と言っている。
 
 私が奇妙に思っていたのは、母の死に関して、パパが全く登場してこないことだった。

 そして、パニック発作後の杏の言葉に、あれだけ冷静に力強く話していた理有の態度が一変している。

理有ちゃんは筋肉を一つも動かしていないように言うと、ペットボトルの水を床に置き、黙ったまま立ち上がりリビングを出て行った。

 これは‥‥