朝日新聞連載小説『クラウドガール』金原ひとみ第116回2016/12/29

 求めても求めても母の愛を得られない理有の姿が浮かぶ。

「理有(りう)はユリカの奴隷で、杏(あん)の保護者だった」

これは、理有自身の自己認識だと思う。

「ユリカは俺以外の誰ともフェアな関係を築けなかった。そのことに絶望していた」

 これは、理有がとらえている両親の関係だと思う。

声を出して目を開けると、私の腕の動きと共に布団が擦れる音がした。

 
この表現が気になる。理有にも何か異変があったか?


 ここからは、最終回へ向けての予想だ。

 
 母は姉妹の父を愛し、その愛は娘二人への愛を上回るものだった。理有は、父の愛をフランスにいた頃に強く感じていた。しかし、母と父の愛に、理有は入り込む隙間を見出せなかった。
 離婚は、母と父の愛が消えたからではなかった。理由は分からない。
 両親の離婚は、理有にとって辛いものにならなかった。むしろ、父を独占できる感覚を味わった。その父が突然亡くなった。理有は、父を失い、母の愛を得られない中で、必死に母に自分を重ねようとする。
 母は、離婚をしても、姉妹の父がこの世で唯一の存在であることに変わりはなかった。
 その元の夫が亡くなった。理有と杏は、今までにも増して母の愛を求めてくる。が、母はそれを受け止めたくても、受け止める術を見出せない。
 母、ユリカは、理有の内に元の夫の理性的な精神を見て、杏の内に自身の奔放な精神を見た。
 ユリカは、理有が亡くなった父と会話を交わしていたことを知っていた。また、ユリカは、杏に激しい感情と性への強い執着があることを知っていた。そんな姉妹が成長するにつれ、ユリカの絶望は深まった。
 高橋が預かっていたユリカの遺稿の一部には、母が姉妹へどんな思いを持ち続けていたかを察することができる内容が書かれていた。
 それを、読んだ理有は、杏にそのことを伝えた。
 理有と杏は‥‥


 何よりも驚いたのは、次回が最終回だということだ。