朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第20回2017/1/21

 おもしろくなってきた。
 極道たちの新年会の面々を釘付けにした踊り手の少年を、華奢で美しいとイメージしていたが、完全に覆された。華奢などころが、もう一端の男だ。
 中学生のワルかともイメージしたが、それもそんなもんじゃなかった。父権五郎も母マツもこの息子のしていることを聞かされたら、腰を抜かさんばかりになるのではないか。
 その上に、喜久雄は、今の自分に彼なりの筋を持っている。

(略)このミミズクのように生きたいと思いましたし、このミミズクの気持ちこそがこの世で最も尊ぶべきものだと思えたのであります。

 喜久雄には彼なりの信念が既にあるということなのだろう。

 任侠の親分の息子とはいいながら、売春婦と思われる女性を情婦にしている中学生。前の連載小説『クラウドガール』では、マンションで同棲している高校生同士。
 小説でいろいろな若者に会える。