朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第21回2017/1/22

 息つかせぬ展開!
 挿絵(束 芋・画)第2回の華やかな座敷が、今は凄惨な場となっているに違いない。この挿絵の華やかながら、どこか不穏な空気が、小説の流れにいかにも沿っている。

 予想してみる。
 新年会で、一人息子の舞台が見事だったことに、権五郎は上機嫌で普段になく気を許していた。そこへ、突然の殴り込み、権五郎以下立花組の幹部の面々も次々に殺されたり、深手を負わされる。女房のマツは、その形勢を見て取り、なんとか息子の喜久雄の命だけは守ろうとする。喜久雄は、どんな多勢に無勢であっても、父を救おうとするが、マツと徳次に押さえられて、行くことができない。
 そして、その場から、喜久雄と徳次を逃がしたのは、花井半二郎だった。

 そろそろ、第一章 料亭花丸の場も終わりそうだ。