朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第29回2017/1/30

 髭の話で、喜久雄の中学生の顔がようやく見えてきた。また、徳次が寒さに震えていることから、彼の辛さが分かる。徳次は、泣き言や弱音を吐いていないが、実際は追い詰められ、辛さに必死に耐えているのだろう。

 宮地組は解散に追い込まれていた。一方の立花組は親分と幹部を失ってはいるが、何らかの形で続いているのかもしれない。もし、組が続いていたとしても、喜久雄が跡継ぎとして大切にされていて、徳次が頼りにできるようなものではないと感じる。