朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第46回2017/2/17

 錆刀は、包丁とは違うので、研ぎ直しても元にもどりはしない。錆刀は、捨て去るしかないのだ。

「俺が将来、立花組ば継いだら、真っ先にお前の玉とってやる」
 
 この言葉が、喜久雄の唯一の武器、喜久雄の刀なのであろう。

 教師を「尾崎」とだけ書いていること、鰻屋の出前のこと、作者の巧みさが楽しめる。