朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第48回2017/2/20


「俺も昼まで学校行ったら、徳ちゃんと一緒に大阪にいくけん」(48回)

 喜久雄は、大阪に行くものと思った。長崎にいては先が開けてこないと思った。

(略)事務所から盗んできた刃渡り二十センチのドスの重みが伝わってまいります。(49回)

 喜久雄は、尾崎を刺すつもりだと思った。


 父の敵と思い込んでいる宮地恒三が学校に来ることを、喜久雄はいつどうやって知ったのか?
 敵討ちはしないと徳次に言っていたのは嘘だったのか、それとも心変わりしたのか?
 父の位牌に手を合わせたのは、これを決心していたからのようだ。