朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第7回2017/2/17
第2話 若松家ダービー②

あらすじ
 圭太が雄琴に行っていたのは、実は家族で応援していたチームとは違うチームの試合を観るためだった。若松家は、家族揃って泉大津ディアブロのホームスタジアムに行くのが習慣になっていたし、圭太もそれに不満を持ってはいなかった。だが、その泉大津ディアブロを粉砕した琵琶湖トルメンタスを観てから圭太の気持ちが変わった。それ以来、圭太にとって、琵琶湖トルメンタスの選手と峰岸監督がかけがえのないかっこいいものになった。

感想
 圭太が家族とは違う琵琶湖トルメンタスを好きになった理由は、選手たちのハードワークと勇気を誇れるチームになりたいという監督の言葉だった。また、その監督の指揮通りに動く無名の選手たちの運動量の豊富さに魅力を感じている。これは、サッカーとサッカーチームをよく知っているサポーターの考え方だと思う。圭太は、しっかりした考え方を持っているし、サッカーチームに何が大切かをよく知っている。
 圭太のことを疑っていた母親も家族の楽しみを大切にする良い母だ。ただし、サッカーチームへの理解では息子の方がリードしているようだ。
 第1話のえりちゃんも第2話の圭太も、人気チームや常勝チームとは逆のチームに可能性を見つけ、応援している。ここには、雰囲気だけで勝ちを喜ぶ態度とは異なる真剣さと深さを感じる。