朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第54回2017/2/25

 想像(予想)51回感想その2したことの②が明らかになった。
 尾崎は、喜久雄が自分を襲うかもしれないと思い、服の下に防具を付けていき、喜久雄のドスの手ごたえは尾崎の防具に当たったと想像していた。想像とは違った。
 尾崎は、喜久雄の襲撃が表沙汰にならなかったことに関わってくるのであろう。尾崎は、ヤクザ嫌いなので、相手が今は名士であろうと、宮地にズバズバと言いたいことを言いそうだ。


(略)簡単に言えば長崎から逃げていくのであります。

 この連載が始まる時の紹介記事の中で、歌舞伎役者が主人公の小説ということを予備知識として与えられている。もし、それがなければ、半二郎の所へ行くのだとしても、喜久雄が役者の道へ進むとは思えない。喜久雄自身も、役者になるために大阪に出るとは思っていないのではないか。
 
 卒業さえ待たずに、長崎を出たという件には驚いた。51回感想その2の①で、尾崎は、喜久雄と春江に「中学校だけは卒業しておけ。卒業式だけでもいいから出ろ。」と言ったのかと想像していた。