朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第58回2017/3/1

 ストーリーの想像(予想)が、ことごとく外れる。連載のストーリー予想は、当たっても外れても楽しいが、ここまで外れると少々悔しく、恥ずかしくなる。
 辻村が出て来るかもしれないとは思ったが、尾崎が絡むとは予想しなかった。いったい、尾崎はどんな役割を担っているのだろうか。
 それにしても、この作者は、あくどい所のある登場人物を生き生きと描く。辻村、宮地の大親分、そして、尾崎、みなそれぞれの顔つきまで浮かんでくる。
 
 今回を読むと、徳次が、辻村、マツ、尾崎の三人の話を盗み聞きして、勝手に喜久雄について行くことにしたようだ。
 喜久雄と徳次の二人組が大阪で何を繰り広げるやら。この小説、いよいよ本筋に入りそうだ。