朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第回2017/3/3
第2話 若松家ダービー④

あらすじ
 圭太が家族と一緒にサッカー観戦に行かなくなって、家族の雰囲気は変わったようだ。そのことがあってから、供子は、家族の中でいちばん大津ディアブロの試合を観たかったのは、自分だったことに初めて気づいた。
 今日は琵琶湖トルメンタスと大津ディアブロの対戦という日曜日、圭太はトルメンタスのホームスタジアムに向かおうとしていた。圭太以外の家族がディアブロの応援に来るのかどうかは、きかずじまいだった。出がけに、妹の真貴が話しかけてきた。真貴は、サッカーよりも女子バスケットが観たい、そして、自分でもバスケットをやりたいと言った。

感想
 前回の感想では、家族の結びつきがサッカー観戦だけというのはどういうものか、と疑問を感じていた。しかし、今回を読んで、気持ちが変わった。サッカー観戦に家族で行き、あるチームの応援を家族みんなですることは、すごく意義のあることに思えてきた。
 圭太は、サッカー観戦を通して、両親と自分の違いを発見し、自分の考えを通すためにアルバイトを始めた。妹は、サッカー観戦に行く習慣の中で、自分がしたいことを探し始めている。
 家業を継ぐ、財産を継ぐ、それ自体に意義があるわけではないと思う。家業であろうが、サッカー観戦であろうが、家族でのゲームであろうが、家族のみんなが共に行動して、それぞれの位置を発見していくことが大切なのではないかと思う。