朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第17回2017/3/10

 ようやく徳次が目覚めたようだ。

 肌色で、喜久雄と俊介の違いを際立たせている。
 同い年、同じ家で暮らすことになりそうな二人。しかし、育ちはまるで違う。

 家の中の喋りと、乱闘騒ぎの納め方の対比が鮮やか。
 ヤクザの家と役者の家はまるで違うはずだ。だが、どこか共通するものもあるのか。この幸子には、マツとは一味違う気風のよさがある。

 喜久雄と徳次は、下働きとして迎えられていた。それなら、源さんの扱いがよくわかる。