大阪に出て来るまでの春江について、次のように感じる。

 喜久雄と徳次が長崎にいなくなって、急に一人ぼっちだと、春江は思います。大阪からは、時々ハガキが届きます。短い文面には、喜久雄が高校へ通っていること、役者の稽古をしていることが書かれています。どうやら二人は楽しく暮らしているようです。
 ある日の便りで、春江も大阪へ出て来いと、急に誘われました。母を長崎に残していくことに迷いはありました。母は、このまま長崎にいてもよいことはないので、大阪へ行けと言います。
 喜久雄と一緒になれると思うと、うれしさが先に立ち、大阪行きの列車に乗りました。