朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第88回2017/3/31

 歌舞伎名門の御曹司と、舞妓のお座敷の外での逢引は京都の夜に似合いの風景と感じる。そこに、役者見習いになってまだ一年そこそこの喜久雄が、しっくり馴染むのかどうか、次回以降が待たれる。

 権五郎は、病気の女房がいるのに、マツを家に入れた。マツが正式の女房になり、喜久雄を育てているのに、若い女にバーを持たせていた。
 喜久雄は、春江を呼び寄せている。だが、舞妓の市駒に完全に心を奪われている。  
 こういう女性への接し方は、権五郎と喜久雄の欠点なのであろうか。女癖が悪い、人間性に欠ける、などと非難できることとは違うものを感じる。