朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第91回2017/4/3

 桜満開の鴨川を一瞬目にしたであろう喜久雄の胸の内は?
 市駒との馴初めは書かれたが、春江との出会いはまだ書かれていない。
 春江について、振り返ってみる。
①組長の息子としての喜久雄と出会った。
②権五郎が殺され、組が落ち目になっても喜久雄への想いは変わらなかった。
③同じ柄の刺青を入れたのだから、二人は生涯連れ添う約束をしたのであろう。
④喜久雄を追って、大阪へ来て安アパートに住み、スナックで働いている。喜久雄とは時々逢っているのだろう。
 春江は、喜久雄の境遇が変わっても、どこまでもついて行く、と感じる。
 一方、市駒は、役者見習いの喜久雄しか知らない。市駒が現れたことで、喜久雄の役者修行は今までと違ってくると思う。