朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第92回2017/4/4

 小野川万菊、喜久雄の行く末に関わる名女形だと感じる。万菊は、二人のキャッチボールを知っているようだ。

 愛甲会の辻村は、喜久雄の父権五郎を殺した真の犯人だ。同時に、喜久雄と半二郎を結び付けた男でもある。敵(かたき)であり、ある意味では恩人にもなる。尾崎は、喜久雄が憎んでいた教師だ。だが、警察沙汰から救ってくれた教師でもある。
 この小説には、このような人物が登場する。
 俊介、市駒、小野川万菊、それぞれの人に、喜久雄の役者としての人生が大きく左右されるのであろう。