朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第13回2017/3/31 第3話 三鷹を取り戻す②

あらすじ
 貴志が高校生になった時に、三鷹は二部へ昇格して、地元ではニュースになっていた。だが、貴志が三鷹に興味を持つことはなかった。
 大学生になった貴志は、アルバイト先で松下という人に会う。松下とはアルバイト仲間というだけの関係だったが、彼が身に付けていたサッカークラブのものらしいエンブレムのことは気になっている。

感想
 貴志は、中学生の頃好きだった三鷹が周囲で話題になっていて、なんとなく妙な気持ちを感じているようだ。
 また、大学生となった彼は、三鷹以外のサッカークラブのことも気にしていない。サッカークラブのことだけでなく、好きなことを見失っているように感じる。でも、だからと言って人間関係に悩んでいる様子もない。要するに、平凡な学生生活を送っているのであろう。
 好きだったクラブのことを、周囲から同調されそうもないので、自分で抑え込んでしまった。このままでは、貴志は、他人の眼をいつも気にして過ごすことになりそうだ。