朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第97回2017/4/9
 
 注目することが出てきている。
① 徳次は、弁天と一緒に、天王寺村の芸人の所に出入りして、それをおもしろがっている。
② 徳次がお供として大阪へ行くことになった裏には、喜久雄の知らない動きがあった。
③ 徳次は、逃げるが勝ちを経験して、辛抱が足りなくなっている。

①から、徳次に、歌舞伎役者よりもおもしろいものができたことが感じられる。
②から、喜久雄と徳次は常に一心同体の動きをしているわけではないことが示されている。これから先は、互いに離れはしないだろうが、それぞれ違う道を歩むのではないかと思わせられる。
③から、徳次の今後を決めるような出来事が近々起こるのではないかと思わせられる。